【ダニエル・カーネマン:年収と幸福度の関係】幸福度が上がらなくなる年収は?実体験を基に算出してみた

⑤貧乏ごっこ - 3.収入編

今回は、「年収と幸福度の関係」「幸福度が上がらなくなる年収」について書きたいと思います。

私は社会人になってからの5年間、一部上場企業で出世を目指し、必死に社畜生活をしていました。
その結果、20代で管理職(管理監督者)まで経験しました。

責任もあり大変でしたが、濃厚な5年間で沢山の経験をすることができたため、悔いはありません。

そして、短期間で出世したため、かなり特殊な年収推移だったと思います。
年収は100万円単位で乱高下し、そういった意味でも非常に濃厚な5年間でした。

ポイントは、「乱高下」です。

通常、20代の年収は右肩上がりになることでしょう。

しかし、私の年収は、出世により大幅に下がることがありました。
後述しますが、管理職(管理監督者)の宿命です。

私はお金が好きなので、
理不尽に思うことも多々あり、年収に囚われ、幸福度もなかなか上がらず、苦悩しました。

そんな私の社畜生活5年間について振り返り、幸福度が上がらなくなる年収を算出していきます。源泉徴収票も公開します。
そして、私なりの年収と幸福度の考え方について記します。

※症例数1なので、あくまで参考まで。

・お金が好きな方
・年収に囚われて困っている方
・年収が上がったのに幸福度が上がらない方

必見です。

はじめに:年収と幸福度の関係について

「年収と幸福度は比例するが、約75,000ドル(約600〜900万円)で幸福度はほぼ頭打ちになる」ということが、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマン教授らによって発表されています。

※為替レートにより大きくブレます。
2010年の研究結果ですが、米Gallup社による45万件にのぼる調査データを分析して出した数値であり、調査期間の為替レートも変動しているため、ここでは幅を持たせて記載します。

年収が極端に低い場合、身の安全や健康、食料の問題などにより幸福度は著しく低くなり、年収の上昇によりそれらを解消できるようになれば幸福度が高くなります。
ところが、一定水準の生活ができるようになれば、幸福度は頭打ちになるということです。

一方、2021年1月にペンシルベニア大学の研究において「年収と比例して幸福度は上昇し続ける」という真逆の結果が発表されており、諸説あります。

私はこれまでの経験上、年収と幸福度は常に比例関係にあるわけではないと考えています。
「稼げば稼ぐほど幸せ」ではありませんでした。

今回は、私の社畜生活5年間の経験に基づく実験結果を発表します。

なお、今後この価値観は変動していく可能性が高いです。
変動があれば、随時発表していきたいと思います。

社畜生活で得られるものは大きい

私の5年間の年収推移

手元に残っていた、私の源泉徴収票4年分を公開します。

ずっと一つの会社に勤めていたのに、乱高下している

変動が大きいですが、年度をバラバラに置いているわけではありません。

上から順番に、
2年目→3年目→4年目→5年目の年収です。

乱高下が激しく、後半の2年間にわたり大幅に下がり続けていることが分かります。
これは、管理監督者になり、残業の概念が無くなった(残業代が支払われなくなった)ことが原因です。

私の社畜時代5年間の収入(額面)は下記の通りです。

1年目:450万円(9ヶ月)

2年目:714万円

3年目:929万円

4年目:843万円

5年目:756万円

6年目:385万円(6ヶ月)

これから、それぞれの年収時のモチベーション、幸福度について、リアルな心境も併せて記載していきます。
また、各段階で発生した問題点などについても、途中に組み込み解説します。

世の中「金が全て」とは限らない

1年目:450万円(9ヶ月)

モチベーション★★★★★
幸福度★★★★★

新入社員なので、モチベーションも高く仕事がとても楽しい。
最速出世を目指し、結果を残すことだけ考えていた。

問題点①:悪友からの誘惑 その1

私は薬剤師資格を持ち、初任給から資格手当てがつき、かなり優遇されていました。
初任給の手取りも31万円でした。

1ヶ月前まで極貧大学生だった私にとって、その31万円は私の多くの欲求を実現可能する大金でした。

実際、先輩や悪友たちは、初任給から遊びまくっていました。
大金&その人たちの姿を目の当たりにし、私も生活水準がバグりかけました。

しかし、私は経済的自立、早期退職(FIRE)も人生の選択肢として残したかったため、その誘惑をグッと堪え、我慢しました。
生活水準を一切上げることなく、極貧大学生のままのマインドで生きることとしました。

自分自身を「手取り月収6万円の貧乏である」と自己洗脳して生きることとしました。
これこそが、このブログの1つのテーマである『貧乏ごっこ』です。この件については、別記事で詳しく記載する予定です。
参考:【質素倹約の基本は自己洗脳】貧乏のつもりで、月6万円で生きる『貧乏ごっこ』

変な目で見られることもありましたが、決して人間関係を疎かにしていたわけではありません。
自分1人で生きる時のみ極貧生活をすることで、十分にお金が余り、友達と遊ぶ時は一緒に贅沢することができました。

また、常に奢ってくれる優しい先輩もおり、ありがたかったです。
悪友も、愛をもって悪友と呼んでいます。

このように、幸福度を保つためには「生活水準を上げないこと」が重要となると思います。

「年収が上がったら良いところに住む」「家賃は給料の3割」などの古い常識があるようですが、年収が上がっても生活水準を上げないことをお勧めします。
私は年収が上がっても浪費はせず、生活水準を全く上げませんでしたが、この生活をしていて本当に良かったと思っています。
ささやかな贅沢が楽しく、幸福度の高い暮らしができています。

2年目:714万円

モチベーション★★★★★
幸福度★★★★★

2年目になってすぐ、現場のマネージャーへ昇進。
役割手当がつき、残業も少しこなしていた。
年収が上がったため、収入には満足していた。
責任ある仕事も増え、モチベーションも高いまま。
住民税が引かれるようになり、地味に痛い。

問題点②:悪友からの誘惑 その2

年収がさらに上がることで、さらなる誘惑がやってきます。

十分な年収をもらい、少しお金が溜まってきたタイミングで、周りが新車を購入したり新築マイホームを買うようになりました。

何故か、私の周りではレクサスが異常に流行っていました。
私は全く興味がないので良くわかりませんが、みんな900万円くらいの新車をローンで購入していました。

また、私は地方都市に住んでいたため、700万円台でもかなりの高級取り扱いでした。
何故か職場に「ワンルームマンション投資」をはじめ、怪しいセールスの電話が頻繁にかかってきました。

このあたりの給与水準で調子に乗り、大きな負債を作る(長期ローンを組んでしまう)人が多いように思います。
その負債が、その後の幸福度に大きな影響を及ぼしているかもしれません。

幸いにも、
すでに完全な「ゆるミニマリスト」となっていた私には物欲がなく、それら誘惑には1ミリも揺らぎませんでした。

私は、幸福度を保つためにも、「ゆるミニマリスト」をおすすめします。

モノが溢れる、欲望のままの贅沢な生活は、いつまでも満たされない底無し沼です。

一方、生活費を抑えたモノを持たない質素な生活は、経済的余裕・心理的余裕を生み、ささやかな贅沢を味わえる精神安定剤となります。

贅沢な暮らし(お金やモノ)によって満たされるのはあくまで一時的な「満足度」だけで、「幸福度」ではないということです。
そのことからも生活水準を上げるべきでないということが読み取れると思います。

参考:【必要最低限のモノで暮らす】自由を手にする『ゆるミニマリスト』のすすめ

3年目:929万円

モチベーション★★★★★
幸福度★★★☆☆

3年目になってすぐ、現場のマネージャーの中でランクアップ。
役割手当もさらに厚くなり、繁忙時には残業代で荒稼ぎしていた。
残業代は季節でムラがあり、標準報酬月額もコロコロ変わるため、税金などの無駄な数字を意識してしまう。
増え続ける税収にストレスを感じ、幸福度は低下。
3年目の中盤に管理職(管理監督者)へ昇進したため、この年のモチベーションは最高潮。

問題点③:税金が高い(標準報酬月額の変化)

標準報酬月額とは、毎月の保険料(健康保険や介護保険、厚生年金保険)を計算しやすくするための基準となる金額のことです。
つまり、税収を決めるためのものとなります。
原則として4~6月の3ヶ月間の給与の総支給額を平均した金額をもとに決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

参考までに、東京都の標準報酬月額表(令和3年度)を示します。

東京都の標準報酬月額表(令和3年度)

表の通り、段階的に納める保険料が増えていきます。
私は、この原則を理解し、1年間はこの税金に変動はないと思っていました。

しかし、ある時、天引きされる保険料が大きく増えていることに気づきました。
そして、昇給や降給によって標準報酬月額に2等級以上の差が出た場合、標準報酬月額が変更されることを知ります。
「随時改定」と呼ばれるものです。

私は、季節によって大きなムラがある残業代により、この標準報酬月額がコロコロと変わりました。
そして、それに意識を取られることが非常にストレスでした。

当時の私は厚生年金の上限である32等級(65万円〜)にギリギリ乗ることが多く、損している気分でいっぱいになりました。
「(これ以上保険料は増えないため)もう少し稼げれば、稼ぐだけ得になるのに」と本気で悔やむ日々でした。
※当時の金額は少し違いました。

標準報酬月額について全く知らないのはダメですが、
当時の私のように標準報酬月額に囚われすぎてもダメです。

ほどほどの距離感で、うまく付き合っていかなければなりません。

4年目:843万円

モチベーション★★★★☆
幸福度★★★☆☆

管理職(管理監督者)への昇進により残業代の概念がなくなり、完全に働き放題となる。
残業代が出なくなるため、年収が下がることは覚悟していたが、4年目の中盤から理不尽に既存の手当ても外され、年収は大幅ダウン。
しかし、固定給になることで、残業代や税収を意識するストレスから解放され、十分な収入だったので幸福度は不変。
自由度の高い仕事を選ぶこともでき、やりがいもあり、モチベーションも保っていた。

問題点④:管理職(管理監督者)への昇進で年収ダウン

私は、管理職であり、管理監督者でした。

管理職とは、社内で部下を管理する立場にいる従業員を総称した呼び名のことです。

管理監督者とは、労働基準法で明確に定義されています。
労働条件の決定や労務管理について、経営者と一体的な立場にある従業員を意味します。
そして、労働基準法の「労働時間」や「休憩」「休日」といった規定が適用されません。

管理監督者と認められる条件については、
厚生労働省が発表した『労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために』で規定されており、以下の4つの条件を満たす必要があります。
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
・賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

私の場合、4つの条件を全て満たしていたかと思うと、かなり微妙です。

管理監督者として勤めた約3年間において、
企業運営の重要な意思決定の会議に参加するようなことは少なく、
業務量・労働時間は上司の許可を得た上で決定しており、
残業代がなくなったことで年収が大幅に下がりました。

また、管理監督者にも支払われるべき深夜残業手当も支払われたことがありません。
タイムカードを持たないため、これらは自己申請となり、勤務実態があっても申請すらしていませんでした。

このような、実態にそぐわない管理監督者が横行しているのは大きな問題だと考えています。
名ばかり管理職問題とも呼ばれているようです。

私はまだ恵まれている方だと思いますが、
労働時間が大幅に増えたにも関わらず、年収が大幅に下がっていくことに徐々に限界を感じました。

5年目:756万円

モチベーション★☆☆☆☆
幸福度★☆☆☆☆

引き続き残業代ゼロ、1年を通じて手当てが外されたことにより、さらに年収は大幅ダウン。
それでも770万円の年収が保証されていたはずが、自分でコントロールできない仕事が増え、評価も最悪となり、ボーナス14万円カット。
管理職を続けることで少しづつ社会の闇を知り、理不尽な出来事も続き、幸福度もモチベーションも大幅に低下。

6年目:385万円(6ヶ月)

モチベーション☆☆☆☆☆
幸福度☆☆☆☆☆

うつ病になり、半年で退職。
参考:【うつ病は甘え?】知らぬ間にうつ病になっていた元社畜からのアドバイス
悪友に惑わされることなく、信念を貫いて蓄えた資産2000万円があったため、労働から解放されるという選択肢を取ることができた。
その後はサイドFIREのような生活へ。生活水準を上げなくて本当に良かった。

私の場合、コツコツ蓄えた資産2000万円が命を救った

まとめ:私の経験上「年収800万円が最強」

私の社畜生活5年間の年収は、下記の通り推移しました。

1年目:450万円(9ヶ月)

2年目:714万円

3年目:929万円

4年目:843万円

5年目:756万円

6年目:385万円(6ヶ月)

その結果、私の中では「年収800万円が最強」という結論に至りました。

3年目に年収900万円台になった時は、税収にストレスを感じ、幸福度は全く上がりませんでした。
その後、理不尽な年収減少が続きましたが、4年目の年収800万円台では幸福度が保てており、5年目の年収700万円台では耐えられなかったためです。

私の実験報告は以上になります。

また、この幸福度に関しては、年収増加による副次的な要素が複雑に絡んでいると考えています。

前述の通り、
私は幸福度を保つためには「生活水準を上げないこと」が重要となると考えています。
そして、「ゆるミニマリスト」を強くおすすめします。

もしも、私が年収が増えるだけ使い込むような浪費家であれば、800万円では満足できなかったかもしれません。
いや、欲望にまみれて、いつまでも満たされず、常に幸福度は低空飛行していたかもしれません。

やはり、年収が上がることで生活水準を上げたり、モノを持ちすぎたりすることは、幸福度を下げるとしか思えません。
あくまで私の価値観ですが、私は非常に重要だと思うので、下記記事を再度掲載しておきます。

参考:【必要最低限のモノで暮らす】自由を手にする『ゆるミニマリスト』のすすめ

なお、本記事で書いてきた内容は、サラリーマンとしての給与所得です。
今のところ、私は給与所得しか知りません。

私はこれから事業所得にチャレンジするつもりです。
給与所得と事業所得では状況が変わってくるはずです。

また、お金に対する価値観も変わると思います。

変化があった時、また書きたいと思います。

〈2021.05.12追記〉
幸福度について新しい記事を書きました。
【幸せとは何か?/FIRE適性診断】メキシコの漁師とMBAコンサルタントの話から学ぶ幸福論

京都府京都市

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