今回は、「国民健康保険料 特例対象被保険者等の保険料の軽減」について書いていきます。
会社を退職した時、退職後の健康保険について悩む人が多いと思います。
家族の扶養に入らない場合、下記2つの選択肢から選ぶこととなります。
①国民健康保険への切り替え
②任意継続健康保険(これまでの健康保険を継続)
うつ病で退職した場合においては、
多くの場合で「①国民健康保険への切り替え」が圧倒的に安くなります。
国民健康保険には「特例対象被保険者等の保険料の軽減」という制度があり、
うつ病患者等の保険料は申請によって軽減されるためです。
本記事では「特例対象被保険者等の保険料の軽減」について解説していきます。
・うつ病で退職した人
・国民健康保険への切り替えor任意継続健康保険で悩んでいる人
必見です。
本記事の構成は、下記目次の通りです。
はじめに:国民健康保険vs任意継続健康保険
会社を退職した時、
最初にぶち当たる壁が「退職後の健康保険について」だと思います。
「どっちの方が保険料が安くなるか?」
「どっちの方がメリットが多くてデメリットが少ないか?」
など、それぞれを比較して悩むと思います。
独身者の場合、
だいたい年収500万円までは「①国民健康保険への切り替え」の方が安く、
それ以上であれば「②任意継続健康保険」の方が安くなると言われています。
しかし、
保険料は住んでいる地域や扶養家族の有無、その他の状況によって決まるため、計算は非常に複雑です。
インターネット上の情報だけを基に自分で試算するのはおすすめできません。
素人の試算ではなく、
・国民健康保険料は管轄の市町村区役所の窓口へ
・任意継続健康保険料は健康保険の窓口へ
それぞれ問い合わせて正確に確認することをおすすめします。
しかし、
うつ病で退職した場合は年収に関わらずほとんどの場合で「①国民健康保険への切り替え」がお得となります。
※例外はあります
国民健康保険には「特例対象被保険者等の保険料の軽減」という制度があり、
うつ病患者等の保険料は申請によって軽減されるためです。
ちなみに、このことは管轄の市町村区役所の窓口では親切丁寧に教えてくれません。
私も自分で調べてから知りました。
このような減免制度は基本的に自分から申請しなければ獲得できません。
世の中には「知らなければ損する」制度が溢れています。
該当する可能性がある人は要チェックです。
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」について
以下、私の管轄の市町村区からもらった「国民健康保険料のご案内」から引用します。
雇用保険の被保険者で、解雇、倒産などの理由により、非自発的に失業された方(特例対象被保険者等)は、前年所得のうち給与所得を30/100として保険料を計算します。
減額には雇用保険受給資格者証(原本)をお持ちいただく必要があります。
【対象者】※①〜③全てを満たす
①雇用保険受給資格者証の「離職理由」の番号が11、12、21、22、23、31、32、33、34のいずれかに配当した方
②離職時に満65歳未満の方
③平成21年3月31日以降に離職した方
離職日の翌日の属する月から翌年度末までの期間が軽減対象期間となります。
※2021年11月に離職した場合、2023年3月までが対象
メリット:保険料がかなり安くなる
要約すると、
「(うつ病などの)やむを得ない理由で退職した人は、前年の給与所得を30%とみなして計算します」ということです。
例)
・前年の給与所得が1,000万円→300万円だとみなして計算
・前年の給与所得が500万円→150万円だとみなして計算
この通り、
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」を受けることができれば国民健康保険料はものすごく安くなります。
うつ病で退職する場合、
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」を受けた場合の国民健康保険料と任意継続健康保険料を比較してください。
ほとんどの人において、国民健康保険料の方が安くなると思います。
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」の注意点 2つ
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」により国民健康保険料はかなり安くなるため、メリットも大きいですが、注意点もあります。
2つの注意点については必ず確認しましょう。
①退職時に会社から貰う離職票の「離職理由」の番号を確認する
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」対象者の条件について、
「①雇用保険受給資格者証の「離職理由」の番号が11、12、21、22、23、31、32、33、34のいずれかに配当した方」を満たすことが非常に重要です。
うつ病の場合、
雇用保険受給資格者証の「離職理由」の番号が「33(正当な理由のある自己都合退職)」に該当します。
まずは退職時に会社から貰う離職票の「離職理由(事業主記入欄)」の番号が「33」になっているか確認しましょう。
私の場合はうつ病で離職したにも関わらず、
事業主記入欄には「24(契約期間満了による退職)」にチェックが入っていました。
会社に毎月医師の診断書を送っていたにも関わらずです。
こういう理不尽なこともありますが、ハローワークに行って相談すれば解決可能です。
雇用保険受給資格者証の「離職理由」は、
会社の見解(離職票の事業主記入欄)と離職者本人の見解の双方を確認し、ハローワークが客観的に判断して決定されます。
私の場合、ハローワークで「雇用保険受給資格に係る就労可否証明書※」をもらい、主治医に記載していただき、それを提出することで「33」に認定されました。
※主治医に「退職時にうつ病で就労不可能であったこと」を証明してもらう必要があります。約2000円かかりました。
退職時に会社から貰う離職票をハローワークに持参し、
必要に応じて主治医に就労可否証明書を書いてもらい、
「離職理由」が「33」と書かれた雇用保険受給資格者証を手に入れましょう。
②任意継続健康保険→国民健康保険は一方通行
これまでは任意継続健康保険に2年縛りルール(任意継続を選んだら2年間変更できない)がありましたが、
2022年1月の健康保険法改正により、いつでも国民健康保険や扶養に変更できるようになります。
※これまでも保険料未納による強制脱退はあり
つまり、任意継続健康保険を選んだ場合はいつでも国民健康保険や扶養に変更できるため、自由度が高いです。
しかし、一度国民健康保険に変更してしまうと、任意継続健康保険に戻すことはできません。
一方通行なので、国民健康保険に切り替えるのは慎重にしましょう。
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」対象者だと思って見切り発車をし、実際には対象者ではなかった時は損をする可能性があります。
前述の「離職理由」が「33」と書かれた雇用保険受給資格者証を手に入れ、
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」対象者であることが確定してから国民健康保険に切り替えることをおすすめします。
なお、任意継続健康保険を受けたい場合、20日以内に手続きが必要なので注意してください。
それを過ぎれば、勝手に国民健康保険に切り替わります(任意継続健康保険への後戻りはできない)。
※最終的な判断は、ご自身で責任を持って下しましょう。
まとめ:うつ病で退職した場合は国民健康保険の方が圧倒的に安い
以上、「国民健康保険料 特例対象被保険者等の保険料の軽減」についてでした。
まとめです。
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はじめに:国民健康保険vs任意継続健康保険
→計算が非常に複雑で比較は難しい
しかし、うつ病で退職した場合は国民健康保険の方が圧倒的に安くなる場合が多い
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」について
・メリット:保険料がかなり安くなる
→やむを得ない理由で退職した人は、前年の給与所得を30%とみなして計算
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」の注意点 2つ
①退職時に会社から貰う離職票の「離職理由」の番号を確認する
→うつ病による退職なのに「33」でない場合はハローワークで変更手続きを
②任意継続健康保険→国民健康保険は一方通行
→一方通行なので、国民健康保険に切り替えるのは慎重に
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繰り返しになりますが、
「特例対象被保険者等の保険料の軽減」は市町村区役所の窓口の人が親切丁寧に教えてくれることではありません。
この手のお得な制度は、「知らなければそれまで」です。
この世の中は情報弱者に対して本当に厳しく、無知であれば搾取され続ける運命です。
しっかりと知識をつけ、自分にとって最善の選択を取っていきましょう。
↓退職時の注意点については、下記の記事もおすすめです。
無知で損をしないよう気を付けましょう。
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