【仕事で使える交渉術】「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由【だけじゃない】

③社畜ごっこ

今回は、
『仕事で使える交渉術:「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由』について書いていきます。

私は20代のうちは仕事人間で、
バリバリ出世を目指していました。

社内歴代最速での出世を狙っていたので、
少し頭を使って戦略的な交渉・アピールもしていました。

その1つが、
「既得権益を捨てる」です。

このテクニックは仕事だけでなく、
あらゆる場面で有効なのでお勧めです。

詳しく解説していきます。

〈この記事の対象者〉
・FIREやサイドFIREに興味がある人
・労働から解放されたい人
・今より自由に生きたい人

〈注意点〉
筆者の経験と考えを書いていきます。
共通点が多いほど参考になると思います。

〈筆者の特徴〉
30代前半、独身、超倹約家、元社畜、元薬剤師、ゆるいミニマリスト、賃貸暮らし(基本社宅で自己負担小)、負債ゼロ

本記事の構成は、下記の通りです。

「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由

早速ですが、
「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由を5つ挙げ、
順番に解説していきます。

既得権益は誰もが死守したいもの

「既得権益」を簡単に表すと下記の通りです。

ある個人または集団が、
歴史的経緯により維持している権益(権利とそれに付随する利益)のこと。

キーワードは以下の3つです。
「個人または集団」
「歴史的経緯」
「権益(権利とそれに付随する利益)」

大きな集団や組織が持つ大きな既得権益から、
個人が持つ小さな既得権益まで、
世の中にはさまざまな既得権益が存在します。

権益(権利とそれに付随する利益)の規模に関しても、
例えば日本医師会が守り続ける「処方権」などの大きなものから、

個人が会社内で持つ「役職に応じた権益」など小さなものまで多種多様です。

「歴史的経緯」も、
大きな集団や組織が数百年の歴史をかけて作り上げたものもあれば、
個人が数年や数ヶ月で作り上げたものもあります。

既得権益に大小はあれど、
それぞれに「歴史的経緯」があり、
そのストーリーには数多くのドラマもあり、
手にするまでには時間も労力も必要です。

個人が持つ小さな既得権益の「歴史的経緯」は大したものではないにせよ、
個人にとっての数年や数ヶ月は十分に大きく、
「手放したくないもの」となります。

サンクコスト効果も相まって、
基本的に既得権益は誰もが「死守したい」と思うものです。

そのため、
政治においては既得権益を守るために強い「岩盤規制」が敷かれ、
多くの分野での新規参入や規制緩和の障壁を作っているという現状があります。

政治のほとんど全てが、
既得権益の守り合いです。

「既得権益を死守する」ということは、
既得権益を使って他者を排除し、
自分や身内だけが都合よく利益を享受し、
既に得ている優位な立場を保ち続けるようなことです。

優位な既得権益を持つ人たちだけが勝ち組になり続け、
格差拡大の要因にもなり得ます。

「既得権益を死守したい」という想いは、
生物としての防衛反応であり、

人間の性だと思います。

既得権益を捨てるには大きな勇気が必要

一度既得権益を得てしまい、
その旨味を知ってしまうと、
抜け出すことは困難です。

既得権益を手放すことは「安定した1つの軸を手放す」ことを意味し、
リスクや恐怖に満ちています。

そんな誰もが「死守したい」と願う既得権益を、
容赦無く奪ってきた会社があります。

それは、
「Amazon」です。

Amazonが新たなビジネスに参入することにより、
Amazonが持つ強大なパワーによって、
その業界の既得権益がひっくり返され、
勢力図が塗り替えられてきました。

これは「アマゾン・エフェクト」とも呼ばれ、
数々の業界の既得権益者を震え上がらせてきた話です。

※次の恐怖に震えている既得権益者も多くいると思います

既得権益がひっくり返る時は、
大きな混乱と変革が生まれます。

最初はなかなか受け入れ難いことだと思いますが、
「Amazonに既得権益を奪われる」という運命は、

受け入れざるを得ないでしょう。

「既得権益を奪われる」を渋々受け入れることが出来ても、
自ら「既得権益を捨てる」という決断はなかなか出来ることではありません。

「既得権益を捨てる」には相当な勇気が必要であり、
「既得権益を奪われる」その時まで死守し続けるのが普通の感覚だと思います。

良い意味で周りの期待を裏切る

世の中のほとんどの人は、
「既得権益は誰もが守り抜くものだ」と考えています。

よほどの「棚からぼた餅」で得た既得権益でない限り、
既得権益を守り抜くことはそこまで否定されることではなく、
1つの権利だと黙認されています。

既得権益を得るための歴史的経緯も努力も、
それなりに評価されているからです。

そんな既得権益を自ら捨てることができたら、
周りの人間を大いに驚かせることでしょう。

まるで奇襲であり、
コペルニクス的転回のようです。

※考え方を180度かえるような大胆な発想の転換のこと

その大胆な行動は良い意味で周りの期待を裏切り、
良い意味で注目を浴びることとなります。

極めて利他的な行動である

「既得権益を死守する」ということは、
既得権益を使って他者を排除し、
自分や身内だけが都合よく利益を享受し、
既に得ている優位な立場を保ち続けるようなことです。

つまり、
極めて利己的な行動とも言えます。

一方、
「既得権益を捨てる」という行動は、
そんな極めて利己的な行動とは真逆の行動であり、
極めて利他的な行動と言えます。

これまで自分や身内だけが都合よく享受してきた利益を、
思い切り投げ出し、

他人へ分配するのです。

これほどまでに利他的な行動は、
他になかなか見当たりません。

「だけじゃない」ことで、説得力が生まれる

個人における、
会社内での既得権益について考えます。

例えば、
Aという仕事で圧倒的な結果を残して評価され、
そのままAの分野で昇格し、

管理職としてAに関わる既得権益を得たとします。

その時、
自分が評価されたAという仕事に関して過剰な愛着を持ち、
自らを過大評価してはいけません。

Aという仕事に責任を持つことは重要ですが、
必要以上に固執してその既得権益を死守しようとすると、

「それだけしかない人」で終わってしまいます。

「自分の土俵でしか勝負できない」
と自分で認めてしまうようなものです。

客観視すればするほど、
「既得権益を死守する」という行動は、

みっともない行動であることが分かると思います。

一方、
「既得権益を捨てる」という行動は、
「だけじゃない」という付加価値を得ることに繋がります。

Aという既得権益を捨てて、
また新たな結果を残し、

新たにBという既得権益を獲得することが出来れば最強です。

大きな勇気を出し、
大胆かつ利他的な「既得権益を捨てる」という行動を起こせる人間にとって、
「だけじゃない」ことを証明するのは難しい話ではないでしょう。

これ以上に説得力のある行動は、
他にないと考えています。

「既得権益を捨てる」戦略

最強の交渉術「既得権益を捨てる」について、
具体的な方法を解説していきます。

私が実際に行った例も記載していきますが、
専門職のため伝わりづらいかと思います。

自分の業界や会社に置き換えて考えていただけると幸いです。

「捨てる前提」で既得権益を得る

まず、
圧倒的な結果を残さなければ既得権益は得られません。

最初に手にする既得権益は、
「割とどうでも良いこと」をお勧めします。

最初に手にする既得権益は「捨てる前提」のものなので、
「要らないもの」でも割り切って全力で獲得していく必要があります。

私の場合、
最初に手にした既得権益は、

薬剤師業務における「対物業務」でした。

薬剤師の業務は、
モノに対する「対物業務」と、
ヒトに対する「対人業務」に2分化されます。

「対物業務」は薬を手早く作って取り揃えたり、
とにかく効率よくモノをさばく能力が問われます。

正直なところ、
「対物業務」は薬剤師でなくても出来る業務ばかりであり、
くだらない仕事です。

一方、
「対人業務」は患者様や医療従事者と連携を取る業務を指し、
問題解決能力やコミュニケーション能力が問われます。

「対人業務」は薬剤師にしかできない業務であり、
専門性も問われる非常に重要な仕事です。

これからの薬剤師に求められるのは圧倒的に「対人業務」であり、
「対物業務」から「対人業務」へ移行していくことが国の指針としても明示されています。

しかし、
現場の実情としては、

薬剤師不足も相まって、
未だに「対物業務」で精一杯であり、

「対人業務」を満足にこなすだけの余力が残っていませんでした。

そして何より、
会社からすれば人時生産性を上げることが利益に繋がります。

「くだらない」とされている対物業務も、
効率よく利益を上げるためにはとても重要な仕事でした。

会社の利益のためにも、
対物業務は最重要項目の1つとなっており、
「人時生産性」は他者と差別化できる分かりやすい数字でした。

「薬剤師1人がさばける処方箋の枚数は1日40枚が上限」と国に定められており、
その上限ギリギリをこなすことが求められ、
ボーナスの評定項目でもありました。

チンタラ遅く仕事をしている人よりも、
効率よく速く仕事をする人が評価されるのは当たり前の話です。

私は、
手先の器用さと体力には自信があったので、
この「くだらない」対物業務を極めることにしました。

「薬剤師1人がさばける処方箋の枚数は1日40枚が上限」というのも、
前年の実績(平均値)で定められるため、
一時的に超過することは黙認されています。

私は弱音を一切吐かずに、
1日50〜70枚を1人でこなし続けました。

常に涼しい顔をして、
1日30〜40枚で音をあげている人たちのフォローも欠かしませんでした。

その結果、
対物業務の「人時生産性」において圧倒的な数字を記録し、

圧倒的に生産性の高い結果を出すことに成功しました。

「人時生産性」という会社の利益にとって重要な項目で圧倒的な結果を残したため、
このことで評価されて出世するのは当然の話でした。

※「優秀な営業マンが優秀な管理職になるとは限らない」事例と同じように、
現場で優秀な人間が出世して必ず成功するとは限りませんが、
少なくとも何かに秀でた人間に可能性があることは間違いありません。

無能な先輩に、
「アイツには対物業務しかない」

「アイツは手が早いだけ(本当の意味で「仕事が出来る」わけじゃない)」
と決めつけられ、
陰口を叩かれたりもしました。

「対物業務なんてくだらない」という、
分かり切ったことを上から目線で言われることもありました。

「くだらない」と分かりつつも、
「割とどうでも良いこと」と思いつつも、
「要らないもの」でも割り切り、
「捨てる前提」で全力で獲得することに大きな意味があります。

何も持たない人間に、
何かを言われたとしても、
一切気にしてはいけません。

ド派手に既得権益を捨てる

私は社内で一番「対物業務」が得意な人間として評価され、
「対物業務」(人時生産性)を管理する管理職へ出世することになります。

私は、
「対物業務」という既得権益を獲得することに成功しました。

「対物業務」の改革を行うためのある程度の権限は付与されており、
良い環境を与えてもらいました。

「対物業務」に過剰な愛着を持ち、
社内での「対物業務」の過大評価をますます拡大させ、

自分自身の実績を過大評価させ続けることも可能な環境でした。

しかし、
私は「対物業務」という既得権益をド派手に捨てました。

とある大きな会議の場で、
「対物業務はくだらない」というスピーチを行い、
「対物業務が得意な私が評価されてきたことはおかしい」と、

私が得てきた「不当な高評価」に対する疑問を提示しました。

これまで築き上げてきた全てをぶち壊す勢いでした。

そして、
「対物業務」の過大評価の是正と、
「対物業務」の縮小および「対人業務」の拡大を宣言しました。

一切の迷いなく、
一切の躊躇なく、
ド派手に捨てました。

幹部や管理職は大いに評価してくれて、
めちゃくちゃ気持ちが良かったです。

私はあまり感じませんでしたが、
「割とどうでも良いこと」であっても、
既得権益は手にしたら死守したくなってしまうものだと思います。

※保有する期間が長ければ長いほど「保有効果」が働く

一切の迷いなく、
一切の躊躇なく、
ド派手に捨てることが大切です。

その潔さを評価してくれる人も大勢居ました。

新たな既得権益を得る

既得権益を捨てたら、
「だけじゃない」ことを証明するために新たな既得権益を得ることが重要です。

私は「対物業務」で評価されましたが、
実は「対人業務」の方に自信がありました。

そして、
「対人業務」の方が自分の信念にあった仕事であり、
熱量を持って取り組める仕事でした。

「対物業務」の縮小および「対人業務」の拡大を宣言した後、
「対人業務」に完全シフトしました。

社内での「対人業務」拡大に尽力し、
大学の客員研究員を兼務するなど結果を残し、
そのまま「対人業務」での既得権益を獲得しました。

こちらの既得権益は退職するまで手放しませんでしたが、
2つの既得権益を獲得することで、

「だけじゃない」ことを証明することができました。

ド派手に既得権益を捨てた後は、
その勢いのまま新しい既得権益獲得に全力を尽くすのみです。

大きな勇気を出し、
大胆かつ利他的な「既得権益を捨てる」という行動を起こせる人間にとって、
「だけじゃない」ことを証明するのは難しい話ではないでしょう。

まとめ:「だけじゃない」は人生に活きる

以上、
『仕事で使える交渉術:「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由』についてでした。

まとめです。

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「既得権益を捨てる」が最強の説得力を生む理由
 ①既得権益は誰もが死守したいもの

 →生物としての防衛反応であり、人間の性
 ②既得権益を捨てるには大きな勇気が必要
 →「既得権益を奪われる」よりも難しい
 ③良い意味で周りの期待を裏切る

 →大いに驚かせ、良い意味で注目を浴びる
 ④極めて利他的な行動である
 →「既得権益を死守する」という極めて利己的な行動と真逆
 ⑤「だけじゃない」ことで、説得力が生まれる
 →これ以上に説得力のある行動は他にない

「既得権益を捨てる」戦略
 ①「捨てる前提」で既得権益を得る

 →最初に手にする既得権益は「割とどうでも良いこと」がお勧め
 ②ド派手に既得権益を捨てる
 →一切の迷いなく、一切の躊躇なく、ド派手に捨てることが大切
 ③新たな既得権益を得る
 →「だけじゃない」ことを証明する

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「だけじゃない」って、
すごく良い言葉だと思います。

帝人グループの「DAKE JA NAI」という言葉も有名です。

「DAKE JA NAI」は、
「テイジンは製品・サービスを提供しているだけじゃない。 未来の社会に向けて価値を提供していく」という意味のようです。

人間も、
「だけじゃない」と一気に強くなります。

「だけじゃない」は、
2つ以上の強みを持っていることを意味します。

2つ以上の強みを持てば、
生きていく上での選択肢が増えるため、

人生を有利に進めていくことが可能です。

自分の成長のためにも、
既得権益を捨てることをお勧めします。

余談ですが、
「アイツには対物業務しかない」
「アイツは手が早いだけ(仕事が出来るわけじゃない)」
と決めつけて陰口を言っていた無能な先輩は、
その後私の部下になり、
逃げるように退職していきました。

このように他人の文句ばかり言い、
何一つ既得権益を獲得できなかった人間は、
言わずもがな最弱です。

皆が既得権益を死守し合う世の中ではなく、
皆が既得権益を捨てまくるような世の中になれば良いなと思っています。

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