今回は、
「テセウスの船(同一性の問題)」について、
考えたことを書いていきます。
独断と偏見ですが、
テセウスの船(同一性の問題)を前向きに考えることで、
「過去の自分」を切り離すことができ、
人生が充実します。
※なお、私は哲学のプロではありません。
また「誰が何を言った」などアカデミックな哲学への興味は全くなく、
「つまみ食いをしながら日常生活に生かそう」というスタンスです。
あくまで「哲学者ごっこ」であり、エンタメとして捉えてください。
〈この記事の対象者〉
・FIREやサイドFIREに興味がある人
・労働から解放されたい人
・今より自由に生きたい人
〈注意点〉
筆者の経験と考えを書いていきます。
共通点が多いほど参考になると思います。
〈筆者の特徴〉
30代前半、独身、超倹約家、元社畜、元薬剤師、ゆるいミニマリスト、賃貸暮らし(基本社宅で自己負担小)、負債ゼロ
本記事の構成は、下記の通りです。
テセウスの船とは?
以下、Wikipediaより引用します。
テセウスの船(テセウスのふね)はパラドックスの一つであり、テセウスのパラドックスとも呼ばれる。
ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題(同一性の問題)をさす。
【ギリシア神話にて】
テセウスという国民的な英雄が乗っていた船があった
↓
その船を保存し、
朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていった
↓
全てのパーツが新しいものに置き換えられた時、
それは「テセウスの船」と同じものであると言えるだろうか?
・・・という話です。
また、
「同一性の問題」の別の話として、
「おじいさんの古い斧」や「ヘラクレイトスの川」という話もあります。
「おじいさんの古い斧」においては「刃の部分」と「柄の部分」に注目し、
「ヘラクレイトスの川」においては「川を流れる水分子」に注目しています。
「同一性の問題」は、
古くから多くの人たちが考えてきた普遍的なテーマであることがわかります。
思考実験:人間に置き換えてみる
同一性の問題は、
人間(生物)に置き換えての思考もしばしば行われています。
ここについて、
「①物理的に」「②精神的に」深堀りしていきます。
①物理的に深堀り
人間を含め、
多細胞生物においては、
新陳代謝で細胞が生まれ変わっています。
年齢差・個人差はありますが、
28−56日で皮膚のターンオーバーが起こり、
外観(表皮)は割と早く入れ替わります。
そして、
心臓の心筋と大脳皮質の神経細胞などの一部の細胞を除き、
細胞レベルで10年で約99%入れ替わると言われています。
つまり、
「10年前の自分」は物理的に(細胞レベルでは)「ほぼ他人」であるということです。
②精神的に深堀り
一方、
精神的に考えるとどうでしょうか?
私たちは、
「意識・記憶は連続している」「精神的な入れ替わりは起こり得ない」と無意識に信じていると思います。
しかし、
ヒュームという哲学者が「知覚の束」という考えを提唱しています。
【知覚の束】
人間は一つ一つの経験が束になったような存在であり、その束に次々と新しい経験が加わることによって、束の形が変化する
この考えによると、
「精神面でも常に生まれ変わっている」と考えることができます。
瞬間瞬間の「知覚の束」は、
常に違うモノとなります。
確かに、
私たちは「睡眠」というイベントでほぼ毎日意識を失い、
そもそも「意識が連続している」というのは錯覚なのかもしれません。
私たちは「過去の経験」をすぐに忘れるし、
(無意識のうちに)都合よく記憶を書き換えたりもします。
そんな「ご都合主義」がまかり通るのであれば、
「世界五分前仮説(「この世界は本当は5分前に始まったのかもしれない」という仮説)」も、
完全には捨てきれません。
「今この瞬間の精神状態は、今この瞬間にしか存在しない(常に生まれ変わっている)」
と考えるのが自然かもしれません。
そんな風にして知覚の束の変化が続くのであれば、
時間経過による精神状態の入れ替わりは想像に易しい話です。
「10年前の自分」は、
精神的に「ほぼ他人」であると言えるでしょう。
テセウスの船(同一性の問題)から得られる教訓
上記で述べてきたことについて、
前向きに考えていきます。
「過去の自分」を「他人」と捉えることができる
前述の通り、
「10年前の自分」は物理的にも精神的にも「ほぼ他人」です。
誰しもが、
「過去の後悔」を少なからず持っていると思います。
失敗の記憶に苛まれ、
ネガティブになることもあると思います。
過去の失敗を生かし、
後悔を力にし、
成長に繋げることは非常に大切なことです。
しかし、
長らく引きずる、
「ネガティブな感情」は時間の無駄です。
可能な限り避けたいものです。
長期間、だらだら苛まれるような「過去の後悔」は、
「他人(過去の自分)がやったことだ!」と割り切り、
切り捨ててしまうことが潔いでしょう。
他人(過去の自分)の目標を無闇に延命し続けるな
私の場合、
「薬剤師」という資格が人生の選択肢を狭めている実感がありました。
薬学部への入学を決めたのは18歳の頃で、
薬剤師の資格を取ることを決めたのもその時期です。
正直な話、
当時の私は夢も希望もない無気力人間で、
人生について「本気で」考えていませんでした。
※下記記事に記載しています
「食いっぱぐれない」という、
甘い考えがあったのが事実です。
15年以上前の「過去の自分」が決めた目標です。
つまり、
他人が決めた目標です。
そんな「他人が決めた目標」を、
いつまでも延命し続ける意味はあるでしょうか?
今の自分の頭で考え、
行動していきたいと考えています。
まとめ:変化の激しい時代、「過去の自分」を「他人」と割り切って生きる
以上、
「テセウスの船(同一性の問題)」についてでした。
まとめです。
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テセウスの船とは?
→同一性の問題は、古くから多くの人たちが考えてきた普遍的なテーマ
思考実験:人間に置き換えてみる
→物理的に深堀り:細胞レベルで10年で99%ほど入れ替わると言われている
→精神的に深堀り:今この瞬間の精神状態は、今この瞬間にしか存在しない
テセウスの船(同一性の問題)から得られる教訓
①「過去の自分」を「他人」と捉えることができる
→「過去の後悔」は、「他人(過去の自分)がやったことだ」と割り切る
②他人(過去の自分)の目標を無闇に延命し続けるな
→今の自分の頭で考え、行動することが大切
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変化の激しい現代においては、
「柔軟に生きること」が一番重要だと思います。
VUCA時代とも言われますが、
変動が大きく、不確実で、複雑で、曖昧な、カオスな時代です。
まるでオセロゲームのように、
常識も変わり、
「些細な何か」がきっかけで、
全てがひっくり返る時代です。
「過去の自分」を「他人」と割り切り、
前に進む勇気が必要だと考えています。
過去の後悔に苛まれた時、
「テセウスの船」を思い出してみてください。
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