【倹約は美徳?】蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考える【サイドFIREの葛藤】

⑥哲学者ごっこ

今回は、
「サイドFIREの葛藤:蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考える」についてまとめていきます。

私は30代前半で4,000万円の資産を作り、
サイドFIREのような生活をしています。

サイドFIRE生活の中では、
様々な悩みや葛藤があります。

悩みや葛藤は割とネガティブなものですが、
私なりにそれらをポジティブに転換しています。

・倹約は美徳だと思っている人
・これからサイドFIREやFIREを目指す人

必見です。

サイドFIREへ向けた予習として参考にしたり、
共感していただけると嬉しいです。

〈この記事の対象者〉
・FIREやサイドFIREに興味がある人
・労働から解放されたい人
・今より自由に生きたい人

〈注意点〉
筆者の経験と考えを書いていきます。
共通点が多いほど参考になると思います。

〈筆者の特徴〉
30代前半、独身、超倹約家、元社畜、元薬剤師、ゆるいミニマリスト、賃貸暮らし(基本社宅で自己負担小)、負債ゼロ

本記事の目次は下記の通りです。

書籍「蜂の寓話(私悪は公益なり)」

資本主義をはじめとした経済社会を学んでいる時、
「蜂の寓話(私悪は公益なり)」の存在を知りました。

そして、
図書館にあった下記書籍を読みました。

「蜂の寓話」は、
その副題(私悪は公益なり)にある通り、
個人の私的な欲望や「悪徳」が、
結果的に社会全体に公益をもたらす可能性を論じています。

この寓話を簡単に要約すると、
下記の通りです。

蜜蜂たちが繁栄している活気に満ちた蜂の巣の物語。

この蜂の巣の蜜蜂たちは、
嘘や欲望・虚栄心・貪欲といった人間社会で「悪徳」とされる行動を行っています。

しかし、
実はそれが原因で経済活動が活発化し、
蜂の巣という名の社会全体が繁栄しているのです。
※本記事において「健全な蜂の巣」と呼ぶ

蜂たちが突然「道徳的」になり、
自分たちの悪徳をやめた結果、
経済は停滞して蜂の巣は崩壊してしまいました。

※本記事において「道徳的な蜂の巣」と呼ぶ

重要なのは、
この寓話において「倹約は美徳」と明記されていることです。

自らの倹約を「美徳」だと思い込んでいる倹約家にとっては、
なんとも耳が痛い話でした。

資本主義の終わりに備え、
どの経済社会が来たとしても「LeanFIREが最強」だと考え
「質素倹約に努めるLeanFIREこそが正義である!」と結論づけた手前、
なんとも言えない気持ちになりました。

※下記記事で詳しく解説しています

今回は、
蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考えていきたいと思います。

※質素倹約をベースとするLeanFIREを中心に

蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考える

蜂の寓話(私悪は公益なり)を、
倹約およびFIRE(LeanFIRE)の観点から考えてまとめていきます。

結論は、
「倹約は美徳から悪徳へと変化し、健全な蜂の巣の一部となる」です。

以下の流れで解説していきます。

①倹約は美徳である

②倹約は消費を減少させ、贅沢は経済を動かす

③倹約は経済循環を阻害する悪徳である

④悪徳であれば、健全な蜂の巣の一部となる

倹約は美徳である

まず最初に、
この寓話において下記内容が明記されています。

「節制に励む」が美徳であり、
「大金を叩く」が悪徳である

個人の欲望や利益追求といったものを「悪徳」とみなし、
「大金を叩く」贅沢や浪費といった行動をその象徴としています。

そして、
それの対極にある「節制に励む」倹約は美徳なのです。

これから成長社会から成熟化社会に向かい、
物質的な豊かさから精神的な豊かさへと価値観がシフトしていく中で、
倹約はますます美徳としての役割を果たせると考えています。

しかし、
著者は経済活動や社会の繁栄を「個人の欲望や浪費」による消費の活性化に依存していると考え、
寓話の議論の中で次のようなロジックが展開されています。

倹約は消費を減少させ、贅沢は経済を動かす

倹約を重視する社会では、
個人が節約することで消費が減り、
それに伴って需要も減少します。

結果的に商品の生産や流通が停滞し、
雇用や経済成長に悪影響を与える可能性があるという至極当然の話です。

著者は「贅沢や浪費が産業を刺激し、雇用を生む原動力になる」と主張します。

たとえば、
豪華な衣服を購入する富裕層の浪費が織物産業や職人の仕事を生み出し、
社会全体に利益をもたらすという考え方です。

贅沢や浪費のほか、
嘘や欲望・虚栄心・貪欲といった悪徳すべてが経済的繁栄につながるのであり、
それらをむやみに制限することは逆に国家の衰退を招くということでした。

そのため、
悪徳を無くそうとしてはいけないという話です。

「ものを食うには空腹が必要になるのと同じく、国民の偉大になりたしとの思いは、国家にとりて不可欠なり」
とも表現しているのが印象的でした。

「国を繁栄させて高雅たらしめているものは、人間の上辺にある美徳などではなく、人間の下劣な性質つまり悪徳である」というのは一理あり、
なんとも皮肉な話だと思います。

倹約は経済循環を阻害する悪徳である

つまり、
倹約が極端になると個人や社会全体が蓄積に集中し、
経済の循環が停滞してしまいます。

これにより、
この寓話に登場する「道徳的な蜂の巣」のように経済活動が縮小し、
最終的に社会の繁栄が失われるということです。

贅沢や浪費のような「悪徳」を完全に「美徳」で統制しようとする試みが、
現実には逆効果になることを極端に描いていると思います。

極論、
「倹約は経済循環を阻害する悪徳である」という話です。

美徳が悪徳に変化しました。

ここでさらに、
FIRE(LeanFIRE)という生き方そのものについて考えてみます。

「労働力の喪失」「(相対的に)税金を払わない」という社会貢献度の低さ、
個人的な生活に集中する利己的な姿勢は、
そもそも悪徳であると言えるのではないでしょうか。

また、
資産運用すること自体が資本主義の強化と格差の助長であり、
悪徳と呼ぶことができるかもしれません。

FIRE(LeanFIRE)という生き方そのもの自体が、
社会的影響や経済的側面から見た場合、
潜在的な「悪徳」として批判される側面も存在するのです。

そうなると、
悪徳と美徳が交差するカオスな状態となります。

悪徳であれば、健全な蜂の巣の一部

FIRE(LeanFIRE)という生き方全体で考えると、
美徳と悪徳の両方の性質をバランス良く持ち、
決して美徳ではないということです。

FIRE(LeanFIRE)が「逃げ切ろう」という姿勢を取れば、
それは多くの人の反感を買うような悪徳であり、
いくら倹約という美徳を内在していても払拭することは出来ません。

そもそも資産運用すること自体が資本主義の強化と格差の助長であり、
悪徳と呼ぶことができるかもしれません。

※重要

それ故に、
健全な蜂の巣の一部と言えるのです。

寓話の中にも、
「1つ1つの部分を見れば悪徳に満ちたれとも、全体を見ればまさに天国なり」という言葉がありました。

1人の人間を見た時も、
1つ1つの要素に分解すれば「美徳」と「悪徳」の仕分けはできるが、
1人の人間の全体として見ればそれぞれが混在しているのです。

寓話は極論であり、
完全なる「美徳」が支配し、
「道徳的な蜂の巣」のような終焉を迎えることはあり得ません。

この寓話の中で「正反対の者同士が恨みでも晴らすが如く、互いに助けあう」という言葉が出てきた通り、
それらは絶妙なバランスを取りながら「美徳」と「悪徳」を行き来し、
常に健全な蜂の巣の一部として機能しているのです。

まとめ:「美徳」も「悪徳」も必要不可欠である

以上、
「サイドFIREの葛藤:蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考える」についてでした。

まとめです。

ーーーーーーーーーー

書籍「蜂の寓話(私悪は公益なり)」
→個人の私的な欲望や「悪徳」が結果的に社会全体に公益をもたらす

蜂の寓話(私悪は公益なり)とFIREについて考える

 ①倹約は美徳である

 →「大金を叩く」浪費は悪徳であり、「節制に励む」倹約は美徳
 ②倹約は消費を減少させ、贅沢は経済を動かす
 →悪徳をむやみに制限することは逆に国家の衰退を招く
 ③倹約は経済循環を阻害する悪徳である
 →
「道徳的な蜂の巣」のように最終的に社会の繁栄が失われる
 ④悪徳であれば、健全な蜂の巣の一部

 →美徳と悪徳を行き来し、常に健全な蜂の巣の一部として機能する

ーーーーーーーーーー

「倹約は美徳から悪徳へと変化し、健全な蜂の巣の一部となる」
ということでした。

詐欺や犯罪ですら「繁栄する社会を構成するのに不可欠な要素」であり、
「個人の私的な欲望や悪徳が結果的に社会全体に公益をもたらす」がスッと理解出来てしまうことは、
何とも皮肉な話でしょうか。

もっとも、
「健全な蜂の巣」である国家自体が悪徳と呼べるとも
言えます

この寓話から派生し、
下記のような議論がされていました。

・奴隷が認められていない現代の自由国家においてもっとも確実な資産は、
最も働き者で貧しい民衆である

・幸福な社会を築き、
できるかぎり劣悪な環境のなかで人びとを満足させるためには、
そのうちの大多数を貧しいとともに無知にさせることが求められる

これぞ究極の悪徳であり、
「健全な蜂の巣」が恐るべきものであることがわかります。

そんな「健全な蜂の巣」で上手く生き抜くには、
やはり適度に悪徳でいることだと考えました。

これからも資産運用することで資本主義の強化と格差の助長し、
FIRE(LeanFIRE)という生き方で適度に悪徳でいようと考えています。

少しでも参考にしていただけると幸いです。

その他、
「サイドFIREの葛藤」シリーズの記事を沢山書いています。

※是非読んでみてください

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